−美咲シナリオ−




(美咲・HAPPY)

美咲「おにいちゃん♪朝だヨ♪」
俺は慌てて布団を頭まで覆わせると、朝の光を視界から遮断した。
美咲「あーーっ!ダ〜メだヨ、おにいちゃん!もう朝だってばぁ!」
雅弘「……あと24時間」
美咲「……たしかに朝だけど」



一瞬ことばが途切れる。
美咲「…でも〜、そうすると今日の朝ご飯はどうするの?早くしないと朝ご飯が逃げていっちゃうヨ!」
雅弘「大丈夫だ。ご飯が歩行するようになったというニュースはまだ聞いていないぞ」
美咲「そうじゃなくてぇ、美咲がおにいちゃんの分も食べちゃうっていうことだヨ?」
雅弘「はいはい、勝手に俺の分まで食べろ。それで俺の分までブクブク太るがいい!」
美咲「あーーっ!ヒドォーイ!美咲はそんなに太っていないヨォ!」
雅弘「あ〜あ…なんて可哀相な俺……」
俺は布団の中でヨヨヨと泣いてみせる。
雅弘「『太った妹に飯を奪われて、兄が強制断食死!』なんて哀れな目をむけられるのか…死んでるから分からないけれど…」



(美咲・BAD)

まるでなにかに触れられたくないが為に、無理矢理いつもの日常を演じている気がする。
一番身近な存在だからこそ気が付く、態度には全く表れない、わずかな不自然さだ。
雅弘「……美咲、どうした?……」
そういった瞬間美咲はビクッと体を震わせた。
……来てほしくない……
…だが来ることを半ば予感していたことば…
…それをついに俺が口にしてしまった…そんな雰囲気を美咲から感じ取った。
そしてたっぷり間を空けて、ゆっくりとやっとこちらを向いた。
……なんでもないヨ……
やはりまた意図的にそういった表情を、顔いっぱいにつくろうとしながら……



だがそれは成功していなかった。
完全に失敗していた。
美咲の表情は曇りきっていた。
全然笑えていなかった。
美咲は無理に取りつくろうのを諦める。
美咲「どうした?じゃないよおにいちゃん……おにいちゃんの方こそどうしたのヨ?」
美咲「昨日からおにいちゃん…ずっと変だヨ?……帰りも遅かったし、それからずっとなにか悩んでいる様子だったヨ……」
美咲「……ねえおにいちゃん……なにかあったの?なんだかおにいちゃんがすごく悩んでいるようで……美咲、心配なの……」
美咲「……ねえおにいちゃん、美咲になにかできることないの?」
美咲「美咲おにいちゃんの役に立ちたいヨ!」
美咲「ねえ……おにいちゃんてっば……」
そこまでいうと感情が込み上げてきたのであろうか、美咲は言葉を詰まらせたようだ。
うっすらと目に涙を浮かべてる。


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