−知佳シナリオ−




(知佳・HAPPY)

知佳「それにね……邪魔しに来るの……」
雅弘「……邪魔?」
知佳「うん…邪魔…いつも来るの…」
雅弘「……なにが?」
知佳「……」
雅弘「……ねぇ?……」
知佳「……ネコ」
雅弘「……はぁ?」
知佳「……家の前にね……ネコがくるの……」
雅弘「……」
知佳「……可愛いの」



雅弘「……」
知佳「……撫でてあげると、『にゃ〜ん』って鳴くの……」
雅弘「……」
知佳「『ワン』って鳴かないの……」
雅弘「……そうですか……」



(知佳・BAD)

だが……視界を覆う前に、俺は見てしまった。
雷光が先輩に落ちるのを!
先輩の容体は急変していた。
さきほどまでは体調は悪そうではあったが、話をする程度の元気はあった。
だがいまは目の前で、先輩は苦しそうな表情を浮かべながら激しく喘いでいる。
ことばどころか息も絶え絶えといった様子だ。
額に汗が流れ落ちる。
いったい先輩になにが起こったのであろうか?
いままでの苦しさとはまるで桁が違う……そもそも病気とはこんなに苦しむものなのか?……
雅弘(……ただごとではない……)
俺はとにかく家まで運び込もうと、抱き上げるため先輩の肩に触れる。
−−その瞬間!
先輩の身体に再び雷光のようなものが落ちた。先輩は文字通り身体を九の字にして苦しむ。
知佳「クゥゥゥゥッッッッ!!!」
大きく喘いで息を吸おうとするも、その呼吸さえもままならないようであった。
さきほど以上に、身体が恐ろしいまでに激しくけいれんを起こしている。
まさしく閃光という大きな電流を直撃した直後のために、身体が痙攣してしまっているといった様子であった。
額からは滝のように汗が流れ落ち、倒れ込む地面にそのまま、汗の池が出来上がるのではないかと思うほどだった。
……俺が手を触れた瞬間……
……先輩の身体に再び閃光が落ちた。
雅弘(……違う!!……)
俺は冷静になろうと努めた。
勝手なイメージを作り上げてはいけない。
雅弘(…なにかが…なにかが欠けている!)


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